私たちのハッピーな毎日にフィットする、ちょっとした食テクニックについて、女子栄養大学 生涯学習講師 春日先生にお話をうかがいました。

春日千加子 先生

春日千加子 先生

女子栄養大学生涯学習講師
栄養学博士・管理栄養士

大学の栄養クリニックでの栄養指導をはじめ、専門学校の非常勤講師、自治体などの栄養教育、糖尿病専門クリニックでの栄養相談など幅広く携わる。女子栄養大学出版部「おうち太り・栄養不足・自炊疲れすべて解決!テレワークごはん」、「更年期からのコレステロールを下げる毎日ごはん」など執筆、監修。

花粉症緩和に、体の内側からの早めの対策を

毎年、春先になると、花粉が気になるという声をよく耳にします。花粉症とは、体に侵入してきた花粉を異物と判断して免疫反応が過剰になり、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状をおこす病気です。

免疫にかかわる細胞の70%は腸内に存在するといわれています。腸内環境が乱れることで、免疫機能に異常が起こり、花粉症などのアレルギー疾患を引き起こしやすくします。

症状を緩和させるためにも、体の内側からの早めの対策が必要と言えます。まず、粘膜のはたらきとなるバリア機能を高めること、腸内環境を改善し免疫機能を整えること、この2視点を意識した食生活を取り入れてみてはいかがでしょうか。

ステップ1:粘膜のバリア機能を高めるたんぱく質と亜鉛テクニック

花粉の侵入を少しでも抑えるために、眼・喉・鼻などの粘膜の保護、修復を促し、バリア機能を高めておくことが必要です。粘膜のバリア機能を高めるには、良質なたんぱく質、ビタミンB群、C、A、カルシウム、亜鉛、鉄などの栄養素を意識してとりましょう。

なかでも、良質なたんぱく質は免疫細胞などの材料にもなり、亜鉛はたんぱく質の合成や細胞作りに欠かせないミネラルで、免疫機能を正常に保つ働きがあります。特に亜鉛は血液や皮膚、骨や筋肉などに多く存在しますが、体内でつくることができませんので、食事からとることが必要です。

粘膜のはたらきを高め、免疫機能を正常に保つWの効果が期待できる食材として、牛赤身肉のオージー・ビーフがおすすめです。もも肉100gが117kcal、たんぱく質17.8g、脂質3.6g、亜鉛4.1mg(※)と良質なたんぱく質と亜鉛が多く、脂質やカロリーは控えめな料理に使いやすい私たちに嬉しい食材です。オージー・ビーフを食事に取り入れて、花粉症緩和のためにインナーメイクを意識してみてはいかがでしょうか。
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

ステップ2:花粉症対策!腸活テクニック

腸内環境を改善し、免疫機能を整えることは花粉症対策につながります。

腸内環境を整えるコツは、善玉菌のエサになる食物繊維と共に、発酵食品などから様々な菌を取り入れることです。

善玉菌が豊富に含まれるみそやヨーグルトなどの発酵食品は、免疫細胞を活性化させ、腸内環境を整える効果が期待されます。そして発酵食品と食物繊維の組み合わせは、腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らすといった好ましい環境を作り、腸活につながります。

粘膜のはたらきを高め、免疫機能を正常に保つWの栄養素を豊富に含むオージー・ビーフに、ビタミンA、C、食物繊維が含まれる緑黄色野菜、さらに発酵食品であるみそを組み合わせた「具沢山みそスープ」は、手軽に簡単にできる花粉症対策メニューとしておすすめです。

Inner Make Recipe

牛肉とかぼちゃの具沢山みそスープ
牛肉とかぼちゃの具沢山みそスープ

鍋にオージー・ビーフ(シチュー用)を柔らかく煮て、かぼちゃとにんじん、玉ねぎを加えさらに煮込みます。みそで味を整え、器に盛り付け、粉チーズを振りかけます。
具沢山のみそスープは、お椀ではなく、少し深めのパスタ皿やスープ皿に盛り付けると、たっぷりの野菜を食べる習慣にも繋がります。朝ごはんとしても、スープジャーに入れてお弁当としても。
主食を食物繊維が豊富な発芽玄米にスライドさせれば、腸活バランスも良い食事になります。

体がちょっと不調だなと感じた時こそ、食材の選び方を工夫して、ゲンキの底力をアップさせるインナーメイクのチャンスです。ハツラツ美人をイメージしながら、自分の体と向き合うちょっとした時間が、明日の健康へと繋がります。