3月にはマラソンについて紹介しました。今回は100mを代表とする短距離走について考えてみましょう。短距離選手と長距離選手の身体を比べてみると、長距離選手は小柄でやせているのに対して、短距離選手は比較的筋肉質、いわゆるマッチョな選手が多いです。例えば長距離の大迫傑選手は170cm、53kg、BMIは18.3です。それに対して引退してしまいましたが100mの世界記録を持つ短距離のウサイン・ボルト選手は196cm、94kg。BMIは24.5です(BMIは体格指数と呼ばれ、体重を身長で2回割ることで求められます。ちなみに普通の成人の望ましいBMIの範囲は18.5~24.9といわれていますから、この二人はほぼその下限と上限ということになります)。

短距離選手は体内にすぐに使えるエネルギーをできるだけ多く蓄えて、一気にパワーを発揮させます。長距離選手は体内でエネルギーを作り出しながら長い時間走り続けます。体内にエネルギーを蓄えるためには、場所が必要で、それが筋肉です。長距離選手の場合には、長い距離、長い時間、競技を続けるための持久力のある筋肉が重要となります。

どの種目でもアスリートにとって筋肉は大切です。特に陸上短距離やウエイトリフティングなどの瞬発系の種目では、筋肉量を増やすことが必要です。材料はもちろんたんぱく質。しかも良質の、すなわちアミノ酸組成の良いたんぱく質が必要となります。牛赤身肉は良質たんぱく質。しかも鉄や亜鉛などアスリートにとって必要なミネラルも豊富です。成長期の子供たちからトップレベルの選手までたんぱく質源としておすすめの食品の1つです。

女子栄養大学・栄養生理学教授
上西一弘氏

【お勧めレシピ】
牛肉のジューシー野菜巻き

体重を気にして、食事を減らしすぎないように注意しましょう。脂肪分を減らし、たんぱく質をしっかり摂って筋肉が落ちないようにします。赤身肉のオージー・ビーフには質の良いたんぱく質だけでなく、マラソン選手に必要な鉄や亜鉛などもたくさん含まれます。アスパラガスやブロッコリーと一緒に食べると、練習の疲れを少しでも早く回復させるのに役立ちます。
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